「マリアビートル/伊坂幸太郎」新幹線で繰り広げられる殺し屋たちの攻防戦【あらすじ・感想】

当ブログはアフィリエイト広告を利用しています

ミステリー日本

こんにちは。ゆっこう(yuccow)です。
今回ご紹介するのは、伊坂幸太郎さんの「マリアビートル」
伊坂作品の中でも、私が一番大好きな作品です!
ストーリーはほぼ新幹線の中だけで進むんですが、そこでの殺し屋たちの攻防戦が最高に面白い。
この「面白い」は、ハラハラドキドキのアクション系の面白いだけじゃなく、ユーモラスな描写の面白い、さらに、予想が付かない展開の面白いもあるんです。

ブラッドピット主演でハリウッド映画化されたのも納得!(2022/9/1公開予定の「ブレットトレイン」の原作です)

ぜひ読んでみて欲しい作品です。

※物語前半部分のネタバレを含みますのでご注意ください。

こんな人におすすめ!

・予想外な展開が見たい
・息もつかせぬ怒涛の展開って最高!
・殺し屋同士の攻防戦でハラハラドキドキしたい
・ユーモアも忘れたくない

あらすじ

幼い息子を傷つけられ、その仕返しをしようとしている元殺し屋の木村。木村の息子をデパートの屋上から突き落として楽しんでいる中学生の王子。腕利きの殺し屋コンビの蜜柑と檸檬。ごく簡単な仕事を請け負っただけの超不運な殺し屋「天道虫」こと七尾。何人もの殺し屋が乗り込んだ東北新幹線で、それぞれの任務や思惑が絡みあい、死をかけた攻防戦が繰り広げられる。

見どころ

個性豊かな殺し屋たち

七尾

何と言っても最高なのは、「テントウ虫」こと七尾。
世界一運が悪くて、気弱な七尾は「簡単な」任務を引き受けたはずが、毎回不運に巻き込まれとんでもない状況に陥ります。
今回の任務も「東京発の新幹線の中でトランクを盗んで、次の停車駅大宮で降りる」だけのはずでした。
それが、このタイミングで、ここまでアンラッキーなことが起こる!?という出来事の連続で、殺し屋たちの攻防戦に巻き込まれて行きます。
どうせ自分にはこんなことが起こるだろうと思っていた、と、七尾が達観してるのも哀れというか……(笑)。
殺し屋の攻防戦という殺伐としたストーリーを暗くなくしてくれる貴重なキャラでもあります。
でも、いざ命がヤバイとなったときに発揮する有能さが彼の魅力ですね!

蜜柑と檸檬

この二人の凸凹コンビも面白いです。凸凹と言っても、体格じゃありません。
体格は二人とも大柄でいかにも強そう。
でも、性格は正反対なんです。
読書が好きでインテリな蜜柑に対して、きかんしゃトーマスのキャラクターが大好きで、人生の教訓は全部トーマスから得ているという檸檬
蜜柑は慎重で正確さを重んじるのに対して、ズボラで勢いで行っちゃうタイプの檸檬。
この二人の掛け合いも面白いです。
七尾とは敵対する関係ですが、どうしても憎めない殺し屋コンビです。

木村

以前は殺し屋をしていたものの、アルコールにおぼれ今は見る影もない木村。
でも、幼いひとり息子を大事にしている良いパパでもあります。
その息子を殺されかけた木村は、犯人の中学生王子を殺そうと新幹線に乗り込みますが、王子の狡猾さに歯が立ちません
やっぱり憎めないキャラです。そしてついつい「しっかりしろ!」と励ましたくなるキャラでもあります。

王子

王子は殺し屋ではありません。優等生の中学生です。
でも、この中では一番悪辣だし、狡猾だし、ある意味イッちゃってるキャラです。
これだけ個性豊かな殺し屋たちの中でも、群を抜いてインパクトがあります
でもって、唯一全く応援したくならないキャラです。悪役らしい悪役ですね。

意表を突く展開が次々と

これだけ個性的なキャラたちが登場する作品ですが、その展開も意表を突くことだらけです。

まず、出だしからビックリさせられるのが、蜜柑と檸檬に降りかかる災難。
闇社会の大ボスから、その息子を助け出し盛岡まで連れてくるように依頼されていたにもかかわらず、新幹線の席に戻ってみたら、その息子が殺されているんです。そんな状況になったら自分たちが消されてしまうのは確実。各駅には大ボスの部下が異常がないかチェックするために待機しています。二人は何とかごまかそうとしますが、うまく行くはずもなく――。
この辺のドタバタした描写が楽しいです。

そして、不運な七尾に降りかかる不幸は、想定をはるかに超えていて、本人には悪いけど笑っちゃいます。
最後には、その不運が幸いしていく展開も見ものです!

感想

とにかく面白い!愉快!
とてもエンターテイメント性の高い作品です。
前半部分は、次々と殺し屋が登場するし、登場人物やその個性や特性の描写も多いので、ちょっと読むのに時間がかかりましたが、後半はホントに一気読みです!
半分過ぎたらもう止まりません。
実は、登場する殺し屋は、紹介した人物だけではなくて、他にもまだまだいます
新幹線に乗っていない殺し屋とかね。
その人物たちがどうかかわってくるのかも、ラストに怒涛のように分かってきます
読み終えた後の爽快感は、最高!のひと言です。

おすすめポイント

・魅力あふれる殺し屋たち
・怒涛の展開
・読後の爽快感

あとがき

伊坂幸太郎さんは、私の故郷仙台在住です。
仙台を舞台にした作品も多く、以前から大好きでした。作品の7割は拝読していると思います。
一番大好きだったのは「ラッシュライフ」。この物語の構成がすごいなあと思いました。
でも、「マリアビートル」が出て、一番はこちらの作品になりました。
舞台は東北新幹線の中、東京を出て盛岡に着くまでの物語。新幹線のようにスピード感あふれる展開に、魅力的な登場人物。
次の停車駅が近づくたびに「どうなるんだろう」とドキドキさせられました!
今回、この作品がブラッドピット主演で映画化されると知り、うれしくなって再読した次第です。
何回読んでも、やっぱり面白い!映画も観に行かなくちゃ!!

コメント