「人魚の眠る家/東野圭吾」人はいつ死んだと言えるのか?【あらすじ・感想】

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ミステリー日本

こんにちは!ゆっこう(yuccow)です。

今回読んだのは、東野圭吾さんの「人魚の眠る家」です。
この本はとにかく「死」について改めて考えさせられました。
いつもどおり、とにかく話の先が気になって気になって、ほとんど一気読み。
でも、ただ面白いだけでなく、非常にいろいろと考えさせてくれる作品でした。
さすがの私も、今回のブログはちょっと真面目な口調になってしまいました。

こんな人におすすめ!

・深く考えさせられる話を読みたい方
・脳死やドナー、移植について興味がある方

あらすじ

娘のお受験が終わるまでは、仲の良い夫婦を演じ、受験が終わったら離婚する。そう決めていた播磨薫子と夫の和昌。
ある日2人の元に、娘の瑞穂が水の事故に遭ったと連絡が入る。
病院に駆け付けた2人に医師が告げたのは、瑞穂が脳死に近い状態であるということだった。
ドナーになるなら脳死判定の検査をすると言われた薫子は、判定を受けなければ死んだとは断定できないと聞き、娘を家に連れて帰ることにする。

見どころ

脳死とは何か?

娘が意見を言えたら、ドナーになりたいと言うのではないか?
そう思いつつも、脳死判定でまだ心臓が動いている娘に死の判定が下されることに、納得がいかず悩む播磨夫婦。
自分にも同じようなことが起きないとは言えないことです。
自分ならどうするだろうと、一緒に悩んでしまいました。
どんなに考えても、答えを出すのは難しい問いに、播磨夫妻がどのように答えを出していくのかが気になって気になって、ページをめくる手が止まりません。

これは生きていると言えるのか?

娘を家に連れ帰って介護生活に入る播磨夫人ですが、少しでも娘を快適な状態にしてやろうと努力します。
和昌が社長を務めるハリマテクスの最先端技術を使い、呼吸器を外しても呼吸ができるように、手足の筋肉が衰えないようにと、どんどん手術をして。
瑞穂の頬はバラ色に、手足の筋肉もしっかりとつき、健康な子供が眠っているとしか思えない状態になることで、ますます生と死の境目が分かりにくくなってしまいます。

この辺りから、脳は死んでいるのに最新技術によって手足だけは動くという、一種の不気味さ
どんどんのめり込んで行く、薫子の危うさが漂い始めます。

いったい、この先どこまで行ってしまうのだろうという緊迫感がどんどん増していくのです。

読後感良し!

当ブログは、重大なネタバレなしにしているので、詳しくはお伝え出来ませんが、読後感は良いです。
最後に救いがあります!もちろん感動も!
ああっそう来たのか。。。
と、納得&感動して読み終えることができますので、安心して?お読みください。

おすすめポイント!

・この先どうなっていくのだろうというハラハラ感
・人の死や脳死について深く考えることができる
・最後の救いに感動する

感想

人の死とは何か、人はどの時点で死んだとみなされるのか。
最初から最後まで、考えさせられる作品でした。

終わりの見えないストーリーに、いったいどういう形で決着がつくのか。
想像もできずにいる間に、どんどん話がエスカレートしていってしまいます。

ピンと張りつめた糸の上を歩いているような、バランスの崩れた積み木をどんどん重ねているような、終始、そんな気持ちで読んでいました。

もう、いつこれが崩れるのかとハラハラしっぱなし!

最後は、割と普通に終わるんだな~、ふうん。

と、思わせてからのサプライズがありました!さすが東野圭吾さん!
エピローグに感動させられました!

「人魚の眠る家」まとめ

これは、犯人を見つけるというようなタイプのミステリーではありません。
DVDやブルーレイのレンタルショップに行くと「ドラマ」というカテゴリーに分類されていそうなストーリーです。
事件の謎を解くというよりは、解けることのない謎を読者に考えさせる小説だと思います。
とても読み応えがあり、印象に残る作品でした。

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