「動く指/アガサ・クリスティー」殺人ありのシンデレラストーリー【あらすじ・感想】

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ミステリー海外

こんにちは。ゆっこう(yuccow)です。
何十年ぶりかでアガサ・クリスティーの「動く指」を再読しました。
こちらはミス・マープルものになります。
中身はすっかり忘れて……と、思いましたが、登場人物はしっかりと覚えていました!
それだけみんな魅力的だったんですね~。
犯人はすっかり忘れていたので、フレッシュな気分で楽しめました♪

この作品は、謎解きも楽しめますが、同時に登場人物のシンデレラストーリーも楽しめちゃうのが魅力ですね!
クリスティー自身もこの作品をお気に入りの10作に入れているとのことですが、読後感も良いし、私も大好きです!

こんな人におすすめ!

・読後感の良いミステリーが好き
・シンデレラストーリーに憧れる
・プリティウーマンが大好きだ
・ミステリーに恋愛要素は重要だよね!
・ミス・マープルの出てくる作品はとにかくチェックしたい

あらすじ

ジェリー・バートンはけがの治療のために、妹のジョアナと「何も起こらない平和な時間」を求めて村に住むことにした。
ところが、その村では人々を中傷する悪意のある手紙が次々と送りつけられていた。
人々が疑心暗鬼になる中、手紙を受け取った弁護士夫人のモナが自殺してしまう。
やがて、それは殺人事件に発展していき――。

見どころ

印象的な登場人物

数十年経ってから再読しても、最近記憶力の衰えて来た私がしっかりと覚えていたくらい、みんな印象的です。


田舎では目立ちすぎて浮くのでは……?と心配したくなる美しくて奔放なジョアナ
反対に20歳にもなるのに幼くていつも穴だらけの靴下を履いているミーガン
ものすごい美人なのに魅力が全然ない家庭教師のエルシー・ホーランド
押しつけがましくて自分が100%正しいと信じていそうなエメ・グリフィス

などなど。
みなさん、鮮やかに私の記憶に残っていました。
その人たちが繰り広げる人間模様は、ミステリー抜きにしても面白いです!

ジェリーとミーガンの関係

その人間模様のひとつが、ジェリーとミーガンの関係です。
実際は20歳だというのに、いつまでも幼い印象のミーガン。
再婚した母の連れ子として居場所のない日々を送っている彼女に、ジェリーは同情を感じています。
いつも身なりをまったく構わない彼女にいら立ちすら感じていたと思われます。

自動販売機の方へ行く彼女の後ろ姿を、私はいらだたしい気持ちで眺めた。かかとのすり減ったゴム靴、粗末な靴下、ひどく不格好なジャンパーとスカート。

アガサ・クリスティー「動く指」P308

いらだちが頂点に達したときに彼はとんでもない行動に出てしまうのですが、この辺り私の大好きなシーンです!

ミーガンのシンデレラストーリーが最高に楽しかったです。

ラストに向けてのハラハラ

恋愛要素は置いておいて。
ミステリーの方ももちろん面白いです!
殺人事件が起きてからは、次々と疑わしい人物や状況が出てきて翻弄されてしまいます。
クリスティーらしい犯人と言えばそうなんですが、最後まで分からなくて騙されてしまいました。

そして、最後でも活躍するミーガン。
殺人犯に狙われてしまいます!

ここまで来ると、もうこの作品の主役はミーガンで良いんじゃないかと思えてしまいます。
ラストに向けて、スリルがどんどん増していきますよ~!

感想

この話は確か大好きで、何度も繰り返し読んだ記憶があります。
だから、こんなに登場人物について覚えていたんですね!
なのに犯人はまったく覚えていませんでした。多分、毎回クリスティーに翻弄されてるんでしょうね。
陰謀?うずまく村の雰囲気、そんな中で起きる事件。そして、ジェリーとミーガンの恋物語。
どれもバランス良く楽しめます!


ただ……ミス・マープルの出番は非常に少ないです
というか、ミス・マープルを出す必要があったんだろうか、と思っちゃうくらい脇役です。
なので、初めて読んだときの正直な感想としては
とっても面白かったんだけど、何かだまされたような……

だったかもしれません(笑)。

おすすめポイント

・印象的な人々が繰り広げる村の人間関係
・2転3転して分からない犯人
・ジェリーとミーガンの恋愛模様

「動く指」考察

「動く指」ってタイトル分かりにくいですよね。
いったい何だろうと思ったときに
ああ!タイプライターを打つ指のことか!
と思ったんですが、違うでしょうか。
私の頭の中では、犯人がせっせと悪意いっぱいの手紙をタイプで打っている指のシーンが物語をとおしてずっと浮かんでいました。
なので、私的にはこのタイトルはしっくりくるんですが。。。
「動く指(THE MOVING FINGER)」のMOVINGとは「(何か不気味なことを)引き起こす」という意味もあるのだとか。
書かれた手紙が引き起こす不気味な事件を暗示しているのかもしれませんね。

奥が深いなあ。

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