こんにちは。ゆっこう(yuccow)です。
アガサ・クリスティーの「忘られぬ死」を何十年ぶりかで再読しました。
この作品は、ポアロ物でもない、ミス・マープル物でもない、ノンシリーズ物になります。
すっかり忘れていたのですが、この作品、読み始めたら止まらないんでした!
今回も一気読みでした!
ということで「忘られぬ死」を読むなら、十分にお時間のあるときをお勧めします♪
あらすじ
誕生日の席で毒を飲んで死んだ魅力的な美女ローズマリー。
当初は自殺と思われていたが、実は殺人だったという疑いが持ち上がる。
殺人ならば、犯人は当時同じテーブルにいた6人の中にいる可能性が高い。
ローズマリーの夫ジョージは、愛する妻の死の真相を探ろうとするが――。
見どころ
全員に動機あり
1年前に亡くなった美女ローズマリーのことを、6人の人物が回想して始まるんですが、まあ見事に全員に?動機があるんですよね。
この回想シーンで独白しているうちの一人が犯人なのは間違いない。
そう思うと、セリフのひとつひとつを裏読みしたくなってしまいます。
というか、何げないセリフの向こう側に隠されていることを見つけ出してやる!くらいの勢いで読んでしまいます。
これが、読み始めると止まらなくなる理由のひとつです。
複雑な人間模様
回想シーンを読んでいくうちに、登場人物同士の人間関係も分かってくるのですが、恋愛感情が複雑にからみあっています。
でも、その人間的なドラマもまた面白い。
この辺の描き方は、さすがクリスティー作品!という感じです。
これもまた、読み始めたら止まらなくなる理由ですね。
ラストに小さな?ハッピーエンドがあるのも、とても魅力的です。
2つ目の殺人
さて、ローズマリーの夫ジョージは真犯人を突き止めようと、1年前にローズマリーが死んだときと同じ状況を再現しようとします。
ローズマリーが毒を飲んだときと同じレストランの同じ席に、同じメンバーを招待したのです。
そこで、2つ目の殺人が起きてしまいます。
しかし、グラスに毒を入れたはずの時間帯には、誰もグラスに近寄っていなかったことが複数の目撃証言で確認されるのです。
だれが?どうやってグラスに毒を入れたのか。
謎が深まります。
鮮やかなトリック
分かってみれば「ああ、そうか!」と納得できるのですが、言われなければ想像もつかないトリックと犯人。
これが、非常に意外で「(作者に)やられた!」と、思う度合いが高いほど、私のミステリー作品に対する評価は高くなるんですが、この作品も正にコレです!
やられた!!!
感想
気持ち良くだまされました!
実は途中から「確か犯人はこうだったんじゃなかったかなぁ」と思い出したんですが、それでも2つ目の殺人の犯行方法などはすっかり忘れていて、今回もやっぱり「やられた!」と思いました。
よーく考えれば、必要なヒントは全部出してもらっていたんですよ。
でも、その出し方が上手すぎて、さりげなさ過ぎるので、どうしても見逃しちゃうんですよね。
2つ目の殺人も「あー、このシチュエーションだと、この人殺されちゃうんじゃ?」と思っていたら、そうなったので「だよね!」と、ちょっと得意になっていたのですが、最後には全然まとはずれだったことが分かりました(笑)。
悔しい……(笑)。
・登場人物の回想の中に、犯人のものも混ざっているという緊張感
・魅力的な人間関係の描写
・殺人の方法が分からないという謎
・意外な犯人と犯行方法
あとがき
この作品は、ミステリーじゃなかったとしても面白く読めたんじゃないかと思います。
ローズマリーの死後に彼女のことを回想するシーンだけでも、すごく面白い。
登場人物ひとりひとりの個性と、人間関係が興味深く描かれていて飽きませんでした。
もちろん、この中の一人が犯人……と思うから、面白さも増すんでしょうけど。
そして、どろどろした恋愛だけでなく、可愛らしい恋愛要素も入っていて楽しかった♪
クリスティー作品の小さな恋愛要素、大好きです。
「忘られぬ死」は、ノンシリーズもの(ポアロやミス・マープルが出ない作品)の中でも、私の中ではかなり上位にくる作品です。
ノンシリーズものに興味がなかったという方に、ぜひ読んでほしいです。
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