こんにちは。ゆっこう(yuccow)です。
今日、ご紹介するのはアンソニー・ホロヴィッツの「カササギ殺人事件」です。
この本がアガサ・クリスティーのオマージュ作品だと聞いて、ずっと読んでみたかったんですよ!
とにかくたっぷりと楽しめる、色んな意味で贅沢な1冊でした!
クリスティー好きの方も、そうでない方も、ぜひ読んでみて欲しいです。
※ちょっとだけネタバレアリです。
と言っても犯人などの重要なネタバレはありません。
あらすじ
編集者のスーザンは、売れ筋商品「アティカス・ピュント」シリーズの最新作「カササギ殺人事件」の原稿に目を通していた。
小さな村にあるパイ屋敷で起きた死亡事故から始まる一連の事件を、名探偵アティカス・ピュントが解き明かしていくストーリーだったが――。
見どころ
見事すぎる作中作
この作品は、編集者スーザンが居る世界と、スーザンが読む「カササギ殺人事件」という作品の中の世界が書かれています。
この作中作である「カササギ殺人事件」がすっごく素晴らしいの!
小さな村にある大きなお屋敷。
そこで起こる事故か事件か分からない出来事。
続いて起きる殺人事件。
村の中にいるたくさんの容疑者。
この辺はすっかりクリスティーの世界ですよね。
とても作中作とは思えないクオリティ!
ついつい引き込まれてしまい、現実の方の世界をすっかり忘れてしまっている自分に気が付きました。
本の世界から脱出できない
すっかり「カササギ殺人事件」の世界にハマっていた、ちょうどそのとき。
読者は原稿を読んでいたスーザンと一緒にショックを受けることになります。
「カササギ殺人事件」のラスト部分の原稿がないんです。
おりしも、その直前には探偵のアティカス・ピュントが、意味ありげに犯人についてひと言、語ったばかり。
え、ここで中断なの!?そりゃないよ~~~っ
もちろん、読んでいたスーザンも何とか原稿の続きを見つけようと、奮闘し始めます。
頑張れ!スーザン!続き、見つけてっ
と、作中作から脱出してきた私は、必死でスーザンを応援。
そう、奥の奥の世界から脱出してきても、自分はまだ本の中に依然いたのでした。
この作品、本の世界が2重になっているので、なかなか脱出できません。
2冊分のミステリーが楽しめる
原稿の残りを探し始めたスーザンは、現実世界でもミステリーに巻き込まれます。
この作品は、本当に2重のミステリー作品でできてるんです!
しかも、そのどちらも「うーん」とうならせられる素晴らしい出来なんです。
現実世界(スーザンのいる世界)も「カササギ殺人事件」も
私、どちらの犯人も分かりませんでした。
正確に言うと、現実世界の方は、この人ちょっとアヤシイかも?くらいには思ったんですが。
どちらの作品も、素晴らしいミステリーでした。
つまり、この本は1冊で2冊分ミステリーを楽しめる作りになってるんです。
感想
読後にまず感じたのが「いやあ、すごい物読んじゃった!」でした!
2冊分たっぷりと楽しむことができました。
ただ、この2つのミステリー。当然ながら同時進行なので、ちょっと頭の中が混乱します(笑)。
2冊分の素晴らしいミステリーってことは、登場人物も2倍、容疑者も2倍います。
人の名前が覚えきれない!!!
何度もページを戻っては確認して……を繰り返したため、読み終えるのに結構時間がかかってしまいました。
それでも読み終えた後は、2倍の満足感を味わえました♪
・作中作ミステリーの素晴らしさ
・クリスティー世界を楽しめる
・現実世界と作中作で2つのミステリーを楽しめる
あとがき
この本を読むのに10日近くかかりました。私は読むのが早い方だと思うんですが。。。
ひとつは、登場人物が覚えられず、いちいち戻って確かめていたため。
人物相関図を書きながら読むと良かったかも。
もうひとつは、作中作と現実の事件&登場人物の区別が分からなくなってしまって「あれ?こんな風なアヤシイこと言ってたのは、どっちの誰だっけ?」と、必死でページを戻る羽目になったため。
作中作の「カササギ殺人事件」を書いた作家アランは、身の回りの人をモデルにしているので、現実世界の人物と「カササギ~」の中の登場人物が似てるんですよ。それもまた混乱の原因になってました。
苦労させられるなあと思いつつ読みましたが、読み終わってみたら大満足の一冊になりました!
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