こんにちは!ゆっこう(yuccow)です。
知念実希人さんの「硝子の塔の殺人」⇒綾辻行人さんの「十角館の殺人」と来て、館シリーズを一気に読んでいます。
館シリーズ1作目「十角館の殺人」と2作目「水車館の殺人」については先日ご紹介しました。
今回は、シリーズ3作目「迷路館の殺人」です。
また、すごい館なんですよ!廊下が迷路になってます。
そして、文章の隅々に綾辻行人さんの策略?がめぐらされています。
読んでいると、こちらまで迷路に迷い込まされそうです。
「迷路館の殺人」を読む際は、どうぞ1行目から気を引き締めてご覧くださいね。
この下の文章はネタバレ多少注意でお願いします。
※館シリーズは、できる限り順番通りに読んだ方が良いです。特にこの「迷路館の殺人」は、シリーズ5作目「時計館の殺人」より前に読むことを強くお勧めします。
あらすじ
居室はすべて地下にあり、廊下は複雑な迷路になっている迷路館。そこに4人の作家が招かれ、莫大な賞金をかけてミステリを書くことになった。ミステリ作品の舞台は迷路館、被害者は自分自身にすることという条件が付いていた。が、小説を書き始めた作家たちは、自らが書いたとおりの殺害方法で殺されていく。
見どころ
小説内の小説――作家はだれ?
この作品は、作中作の形になっています。小説の中に展開している小説を読者が読むという形式です。
この作中作は、実際に迷路館で起きた事件を題材として書かれたものという設定で、書いたのは、実際に事件現場にいたある人物です。
一番最初に作中作を書いた作家のあとがきが出てくるのですが、その中にこんな文章があります。
かく云う私自身も、何喰わぬ顔で作中に出てくるのだが、その際にも「鹿谷門実」というこのペンネームで呼ばれたりはしない。
迷路館の殺人 プロローグより
関係者中の誰が鹿谷門実なのか。
そうなんです。読者は、作中作の犯人を当てるだけではなく、誰がこの小説の作者なのかを当てなくてはなりません。
事件後に小説を書いているということは、生き残った人のはず。
そして、犯人でもない人のはず。
いったい誰???
読みながら悩まされてしまいます。
クローズドサークル
次々と起こる殺人におびえた一行は、何とか外に出る方法を探しますが、
地下に造られた館なので、もちろん窓はありません。地上へ通じる扉は1か所のみ。
ところが、その扉の鍵を持った人物が、物語開始早々に行方不明になってしまうんです。
買物に行くと出かけたきり戻ってこない。一行は館に閉じ込められた状態になります。
クローズドサークルです。
犯人は自分たちの中にいるのか、それとも行方不明になった人物が、鍵を使って犯行を繰り返しているのか。
みんなの中に疑心暗鬼が広がります。
複雑な迷路
今回の迷路館も、また素晴らしくドキドキさせられる造りです。
何しろ、玄関に入るとすぐに地下への階段があって、居室は全部地下になってるんです。
廊下は全部迷路。隣の部屋へも簡単には行きつけません。
同じような通路がずらっと並んでいて、どれがどこの部屋に通じるのか非常に分かりにくい造りになっている場所も。
自分以外の人間を疑っている状態で、誰かと二人で迷路を歩く緊迫感もビリビリ感じました。
最後の最後まで騙される
作中作の小説だけでも読み応えがあり、なるほど!と楽しく読めるのですが、その後に更に解決編がありました!
私は単純なので作中作を読んで「あー、面白かった」と思っちゃったのですが、その後、作中作では解決されていないいくつかの謎や不自然な点にスポットが当てられて話が展開していきます。
その部分を読んで、作者の用意周到なトリックに舌を巻きました。
感想
もう、とにかくものすごく濃い作品でした!
作中作としての解決、その後さらに解かれる謎と解決編、クローズドサークル、最後に出てくる魅力的な館の造り(←これは詳しく触れずに置きますね)。
いろんなトリックやアイデアがたっぷりと盛り込まれています!
これは、すべての謎を正しく解ける人はいないんじゃないだろうか。
とにかく、読み応えがあるなんていうひと言では言い尽くせない作品でした!
不気味な迷路館。
登場人物と一緒に、ドキドキしながら迷路を歩いた気分も味わえて、大満足です。
・トリックやアイデアがたっぷりと詰め込まれている
・作中作と合わせて2倍の作品を読んだ気分になれる
・不気味な迷路館の雰囲気とクローズドサークル
「迷路館の殺人」感想あとがき
どれも昔読んだはずなのに、また気持ち良く騙されてしまいました。
私が読む小説は、およそ年に100冊ちょっと。
20年以上前に館シリーズを読んでから、他の本を2000冊以上は読んでいることになります。
絵本やコミックを加えたら1万冊は超えてるはず。。。私の記憶力の容量を超えているようです。
内容をすっぱりと忘れているおかげで、再び楽しむことができる幸せ。
記憶力が衰えるというのも、悪いことばかりじゃありませんね。
ただ、実は私は、今回この本が手に入らなくて先に「時計館の殺人」を読んでしまっていたんです。
後から「迷路館の殺人」を読み始めたときに「失敗した!!!」と思いました。
思いっきりネタバレがあるじゃないですかー(涙)。
なので最後にもう一度赤い文字で注意書きしておきますね。
館シリーズは、順番どおりに読むことを強くお勧めします!
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