こんにちは!ゆっこう(yuccow)です。
緊迫感のある中にも、ハートフルなストーリーが魅力の知念実希人さんの作品。
今回はその中から「ひとつむぎの手」をご紹介します。
一生懸命で優しいんだけど、ちょっと不器用そうな主人公が魅力的なお話です。
殺人などの事件もないし、サスペンス的な要素もありませんが、とにかくストーリーが面白い!
例によって、一気読みしてしまいました。
あらすじ
心臓外科医の平良祐介は、赤石教授のような「本物の心臓外科医」になるのが夢だった。
忙しいことで有名な心臓外科は、やめていく人間も多く、常に人手不足。そんな心臓外科に、めずらしく3人も研修医が来ることになった。
赤石教授から、3人の指導医になり、少なくとも3人のうち2人を心臓外科に入局させるようにと言われる祐介。
それができれば、ずっと希望していた病院に出向させるという。祐介は指導医を引き受けるが、3人の研修医とは、最悪の関係になってしまい……。
見どころ
次々と難題を押し付けられる祐介
心臓外科医として一流になりたい思いが強い祐介。その思いを利用されて、次々と難題を押し付けられてしまいます。
ついには、ある事件の犯人を見つけるようにとまで言われてしまうのです。
決して器用ではない性格の祐介に、その謎が解けるのか?
ハラハラしながら、時には「もっとハッキリした態度とればいいのに!」とジリジリしながら読みました。
意外なところで能力を発揮する祐介
本人の思いとは裏腹に、心臓外科医としては、それほど優秀とは思えない祐介ですが、救急患者に対しての処置は、お見事なのです。
患者に寄り添う温かさにも、心が和まされます。
主人公としての魅力を発揮してくれます。
3人の研修医との関係性の変化
研修が始まってすぐ、3人と最悪の関係になってしまう祐介ですが、さまざまな事件をとおして、お互いを分かりあっていきます。
最初は祐介のことを見下していた研修医も、祐介の良さや、能力を知って変わっていくのですが、その研修医たちとのやりとりも見ごたえがありました!
感想
自分の進む道、取る行動、研修医への対応、全てにおいて不器用さの感じられる祐介に、前半はジリジリしながら読み進めていました。
もどかしい~~~!
段々と伝わってくる誠実な人柄と、突然発揮する医師としての高い能力に、研修医たちと一緒に読み手も祐介に惹かれていきました!
後半に祐介がキレた姿を見せたところは、ちょっとスッキリ(笑)
それまで、ずっとモヤモヤしてたんだもの~!
殺人などの事件はないし、サスペンス的な要素もないのですが、ストーリー展開が面白かった!
最後は、ホッと心が温まり、感動のラストが良かったです。
読み終えた後に、じんわりと心が温かくなる物語でした。
・スピーディな展開で引きつけられるストーリー!
・じんわりと心が温かくなる読後感
・医療をとおして感じられる人間ドラマ
「ひとつむぎの手」感想まとめ
心臓外科医としては決して優秀ではなさそうな祐介ですが、救急医療では高い能力を発揮します。
なのに、心臓外科医にこだわり続けては、落ち込んだり失敗したりする祐介。
ときに立ち止まって、自分の適性を見つめ直すって大事なことだなと思いました。
ふと、わが身を顧みてしまう、そんなことを感じさせてくれた小説でした。
ストーリー展開は、とにかく面白い!読後感も良い!
おすすめです。
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